[読書]奥多摩町異聞
- 本のデータ
- 書名:奥多摩町異聞
- 著者:瓜生卓造
- 出版:東京書籍
- 発行年:1982年5月1日初版
- ISBNコード:978-4-487-75014-6(4-487-75014-8)
私が好きな釣りは小さな旅と共にあるようです。旅の楽しみは地の食材や酒などいろいろですが、すれ違う人々との会話に印象深いものが多々あるものですね。
ある時、村営バスでお隣に乗り合わせたおばあちゃんの手が自分の手より大きくてつやつやとしていたのを見ました。たぶん働き者のお母さんなのだろうと思いながら挨拶をしてこの季節の山のことや畑のこと、川のことを聞いてみました。
地元の人の話は山や川をより豊かにしてくれます。旅人である私は通り過ぎて行くのではありますが、そうした一期一会の出会いはいつも何か大切なものを持ち帰ることになるようです。
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「奥多摩町異聞」は著者が奥多摩の人々を訪ねながら山村と人々の関わりやそれらを取り巻く時の流れを淡々と記しながら東京という大都市の背景にともすれば埋もれてしまうような歴史を現在に繋ぎ止めるような一冊です。
本書に出てくる字(地名)の小丹波(こたば)は私のふるさとです。現在の生活の場でもある桜木(さくらぎ)はすぐ隣となります。祖父母や叔父叔母、幼い母が暮らした山村に私自身が今現在暮らしている訳で、文脈の間に私自身の歴史の空白の野のような部分に畦道を見出すべく出会った書でもあります。
本書が上梓されてから四半世紀、小河内ダムや緒産業、また釣り人から見た奥多摩川の問題は変わらずあると実感します。しかしまた、困難に立ち向かって町を築き暮らしを立て来た人々と奥多摩(川)に関わる人々の努力と心意気は今も脈々とあります。
本書を読みながら奥多摩川を中心によりよい環境、定住と観光を目指す経済圏の様なものが出来ないものかと私は考えるようになりました。




